2012年4月24日(火):晴れ:鳩ノ巣駅→大根ノ山ノ神→舟井戸→川乗(苔)山山頂→赤杭尾根→川井駅分岐→古里駅
■『90年代アメリカ映画100』の作業中は山歩きをひかえていたが、無事に完成したのでいざ山へ。少しでもブランクを埋めるためにたっぷり歩くにはどこがいいかと考え、奥多摩の川乗(苔)山に行くことに。鳩ノ巣駅から登って、古里駅に下りてくる。距離にして14~15kmくらいか。これなら途中でへばったとしてもバスの時間などを気にかける必要がない。
空がようやく白みかけたころに家を出て、桜木町4:43分の電車に乗り、川崎と立川で乗り換え、鳩ノ巣駅に7:23分に到着。出がけにばたばたしたため、車中で読む本を選ぶ時間がなく、最初に目についた森敦の『月山・鳥海山』を持参。何度読んでもいい。
「月山は月山と呼ばれるゆえんを知ろうとする者にはその本然の姿を見せず、本然の姿を見ようとする者には月山と呼ばれるゆえんを語ろうとしないのです。月山が、古来、死者の行くあの世の山とされていたのも、死こそはわたしたちにとってまさにあるべき唯一のものでありながら、そのいかなるものかを覗わせようとせず、ひとたび覗えば語ることを許さぬ、死のたくらみめいたものを感じさせるためかもしれません」
鳩ノ巣駅に到着。車中からもちらちら目に入ったが、奥多摩ではまだ桜が咲いていた。散りはじめたところで、鳩ノ巣駅のホームや屋根には花びらが舞い落ちていた。
踏み切りを渡り、道なりに進み、登山道に入る。じぐざぐに斜面を登っていく。最初の休憩場所は、小さな祠がある大根ノ山ノ神だが、そこに着いて愕然とした。このコースは下りで何度が歩いているが、木々に囲まれた静かな場所だった。ところが知らないうちに、すぐわきのところまで道路が延び、静かな場所とはいえなくなっていた。
このコースは単調で見通しもきかないので退屈する人もいるだろうが、黙々と歩くにはいい。本日はブランクを踏まえ、スローペースでできるだけ休まずに歩きつづけることを心がける。聞こえるのは鳥の声と風の音だけだ。舟井戸に向かう登りに入り、ちょっときつくなってくる。舟井戸の鞍部に出て、本仁田山・大ダワからのコースとの合流点を過ぎると道が広くなり、次第に山頂が近づいてくる。
歩き出してからだいたい3時間弱で山頂に到着。先客はひと組の男女のみ。気温が上がったため富士山は雲に隠れていたが、石尾根方向はよく見えた。用意してきた弁当で腹ごしらえをし、しばらく休憩して出発。
古里駅に向かうコースに入ってしばらく行ったところで、太ももがつりそうになり、不安がよぎったが、少し休んだだけでその後問題はなかった。こちらのコースも少しだけ大岳山方向の展望が開ける場所がある以外、見晴らしは望めないので、歩くことに専念する。
終盤には花を眺める余裕も出てきた。春とはいえ上の方がまだ色彩に乏しかったので心が和む。
14:00過ぎに無事に古里の集落に出た。こちらも桜が咲いていた。いい山歩きだった。